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筋萎縮性側索硬化症

主な神経疾患診療の解説

■疾患名

筋萎縮性側索硬化症

■概要

私たちが身体を動かすとき、その指令は大脳皮質から脊髄という場所を下降する上位運動ニューロンと、脊髄から動かしたい筋肉まで伝達する下位運動ニューロンを介し伝えられます。運動ニューロン疾患とは、この伝達路である運動ニューロンが傷んでしまう病気です。いくつかある運動ニューロン疾患の中で、もっとも重篤な病気が筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis: 以下、ALS)です。米国で国民的に人気のあったメジャーリーグ野球選手ルー・ゲーリックがこの病気で亡くなったことから、ALSは「ルー・ゲーリック病」と呼ばれることもあります。

この病気を発症すると、徐々に身体が動かせなくなり、食事や会話も困難になり、呼吸もできなくなってしまいます。人工呼吸器をつければその後何年も生きることができますが、全身の麻痺は不可逆的で、進行を数ケ月程度遅らせる薬はあるものの根治療法はありません。 障害(変性)が出るのは運動神経のみであり、患者さんは意識がはっきりしたまま徐々に体が動かせなくなります。発症すると確実に機能が失われていくため、ご家族の介護負担が非常に大きいのも特徴です。

■症状

初めにどの運動ニューロンが弱ってくるかによって、 最初に現れる症状は異なります。

手足の筋力低下と筋萎縮

ALSの患者さんのうち約4分の1の方は、最初に手足の動きが弱くなり、病院を訪れます。重いものを持てない、走りにくい、階段が昇りにくいなどの自覚症状を感じます。これらの症状とともに、手や足の筋肉がやせ細ってきます。症状が進むと歩行が困難となり、車いすが必要となります。

構音障害、嚥下障害

ろれつがまわらなくなったり、食べ物や唾液(つば)が飲み込みにくくなり、むせることが多くなります。症状が進むと食物や水分が摂れなくなり、生命の維持には胃ろうが必要となります。また、言葉がしゃべれなくなると会話に大きな障害が生じます。手や口の麻痺が進むと残された筋力(目の動きなど)を使ったコミュニケーションを余儀なくされます。

  • 手足が動かなくなる→車いす、ベッドでの生活
  • 呼吸ができなくなる→人工呼吸器の必要性
  • ごはんが食べられなくなる→胃ろうの必要性
  • コミニケーションができなくなる→文字盤等

進行すると呼吸障害が出て、生命の維持には人工呼吸器を必要とします。本人の意識や知覚が正常であるにも関わらず、生活やコミュニケーションの自由が阻害されるため、生活の質は著しく低下します。経過には個人差があるものの発症から死亡ないしは人工呼吸器装着までの期間は 20~48ケ月であると報告されています(日本神経学会:筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン 2013)人工呼吸器や胃ろうは、延命治療との考えもあります。これらを施行する場合は、医師と十分相談した上で施行いたします。

■治療

現在認可されている薬は2つあります、いずれも病気の進行を抑える作用はありますが、症状を改善させる効果はありません。残念ながら根本的に本疾患を治せる薬はまだありません。

  • リルゾール(リルテック)©:1回1錠、1日2回(朝及び夕食前)の内服薬です。ALS患者さんの生存期間や人工呼吸器装着までの期間を約3ケ月間延長させる効果があります。
  • エダラボン(ラジカット)©:1日1回の60分かけて点滴するお薬です。12週間ごとに10~14日間連日投与します。ALS患者さんの生存期間や人工呼吸器装着までの期間を数ケ月伸ばす効果があります。

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