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多発性硬化症

研究班の紹介:中枢神経系脱髄疾患

中枢神経系脱髄疾患の研究について

当科には中原教授をはじめとして中枢神経系脱髄疾患(多発性硬化症、視神経脊髄炎関連疾患など)を特に専門とする医師が複数在籍し、専門外来も設置されています。また日本神経免疫学会や厚生労働省研究班などの専門家のネットワークを介して、他道府県の病院から患者さんをご紹介いただくことも多く、現在、数百名以上に及ぶ中枢神経系脱髄疾患の患者さんが当院へ通院されております。当院では、より良い診断と治療を可能にするべく、通院中の患者さんにご協力いただいて、治験を含む臨床研究を複数行っております。また、将来的な新たな治療戦略を見据えた基礎研究も精力的に実施しております。それぞれの概要は以下の通りです。

中枢神経系脱髄疾患の臨床研究

脱髄疾患とは「髄鞘」が壊れる疾患を示しますが、病気の正確な診断には「髄鞘」の見える化が重要です。これまでの磁気共鳴画像(MRI)では脱髄と非脱髄の区別が容易ではありませんでした。当科では、他の診療科や基礎医学教室と共同し、「髄鞘」が見える新しいMRI撮影法である「ミエリンマップ法」を開発しました。この方法では「髄鞘」の脱落(脱髄)に加えて、再生も検出できます。現在、この「ミエリンマップ法」を日々の診療に役立てるため、国際的な共同研究を含めてさまざまな臨床研究を進めており、その成果は国内外の学会や学術誌上で継続的に報告しています。

また、中枢神経系脱髄疾患に対する新しい治療法も積極的に取り入れています。とりわけ多発性硬化症の治験は国内有数の参加実績を有しています。

中枢神経系脱髄疾患の基礎研究

脱髄は自然に回復することもありますが、残念ながら再生せずに後遺症を遺すことも珍しくありません。そこで我々は「髄鞘」の再生を促す治療戦略を構築することを目標に基礎研究を進めています。特に力を入れているのは、「髄鞘」の再生を中枢神経系の代謝面から促す戦略です。この目的で、さまざまな基礎的な実験データに基づき、世界では当科にしか存在しないような動物モデルを構築してその検証を進めています。

一方、視神経脊髄炎関連疾患などでは「抗体」による自己免疫が原因で脱髄が生じることが知られています。この機序を食い止める新しい治療戦略を描き、基礎医学教室と密に連携し研究を進めています。

参考文献

1) Nakahara J. Visualization of myelin for the diagnosis and treatment monitoring of multiple sclerosis. Adv. Exp Med Biol (2019) 1190:249-256.

2) Tanikawa M, et al. q-Space myelin map imaging for longitudinal analysis of demyelination and remyelination in multiple sclerosis patients treated with fingolimod: A preliminary study. J Neurol Sci (2017) 373:352-357.

3) Fujiyoshi K, et al. Application of q-space diffusion MRI for the visualization of white matter. J Neurosci (2016) 36:2796-2808.

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