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神経変性疾患

研究班の紹介

神経変性基礎研究

神経変性疾患の主要病態は障害部位に特異的なタンパク質の異常蓄積であるとの考えの下、研究を進めております. 特に運動ニューロン疾患の病態解明に取り組み、研究成果を発表しています.

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子であるTDP-43、FUS等に注目し、これらRNA結合タンパク質が細胞質内への異常ストレス顆粒形成と樹状突起障害を起こすことを見出しました. この知見をふまえて、ALS関連分子は共同して樹状突起でのRNA品質管理機構の破たんを導き、神経変性を引き起こすとの説を提唱しています(図1). この説は、難病であるALSの分子病態を説明しうるものとして多数の研究者から支持され、NeurologyのEditorialに取り上げられました(Neurology. 2011;77:1588)(認知症学会賞). 現在、我々はALSの治療ターゲットとしてTDP-43、FUSの核輸送、樹状突起mRNA輸送メカニズムに注目し、精力的に研究を展開させています.

また、疾患特異的iPS細胞にいち早く注目し、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病由来iPS細胞を樹立、発表しました. さらなる展開として、孤発性疾患のiPS細胞をターゲットにして、common diseaseの病態解明および先制医療を目指した研究を行うとともに、iPS細胞技術を神経疾患の再生医療へと応用すべく研究を進めています.

神経変性臨床研究

2018年から、疾患特異的iPS 細胞を用いた創薬技術を応用し新たに見出したALS治療薬の候補、ロピニロール塩酸塩の安全性・有効性を評価するための第 I/IIa 相医師主導治験を当院にて行っております(2019年5月より新規のお申し込みは終了させていただきました).この薬はこれまでパーキンソン病の治療薬として利用されておりましたが、約 70%の孤発性ALS患者さん由来iPS細胞にも効果が示されました(Fujimori K, Okano H et al. Nat Med. 2018;24(10):1579-1589.). 本治験では、実際のALS患者さんでその安全性と有効性を評価しております.

また、拡張したALS診療を統括するためパラメディカルとともにALS診療チームを組織し、専門外来を開設しました. 疾患iPS細胞由来初の創薬確立を目指して、ALS診療チームを指揮し、治験成功に向け邁進しております.

さらに、成人神経変性疾患を対象とした初めての核酸治療薬である家族性ALSに対するBIIB067髄注治験のPrincipal Investigatorを務めております. 本年8月には本邦最初の症例への投与に成功しました. 今後、核酸医療薬、遺伝子治療は多くの神経疾患へと展開していくものと考えられ、本邦でのイニシアティブをとっていきたいと思っております.

診断の開発、病態解明の臨床研究

神経変性疾患

1) 神経疾患患者からの iPS 細胞の樹立とそれを用いた疾患解析に関する研究 (承認番号:20080016)
研究分担者: 伊東大介
予定試験期間: 2008年6月~2023年5月

2)パーキンソン病患者におけるアミロイドイメージングの検討 (承認番号:20140020)
研究責任者: 伊東大介
試験期間: 2014年7月~2018年3月

治療法の開発の臨床研究

筋萎縮性側索硬化症

1) 薬剤名 ロピニロール塩酸塩徐放錠 (医師主導試験)
UMIN試験ID: UMIN000034954
治験課題名 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象としたロピニロール塩酸塩徐放錠内服投与による安全性・忍容性および有効性を探索するプラセボ対照、二重盲検期および非盲検継続投与期からなる第Ⅰ/Ⅱa相試験
試験のフェーズ: 第Ⅰ/Ⅱa相
研究分担者:伊東大介
予定試験期間: 2018年12月~2020年11月

2) 薬剤名 BIIB067
治験課題名 スーパーオキサイドジスムターゼ1変異と確定された筋萎縮性側索硬化症を有する成人患者を対象としたBIIB067の有効性、安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価する試験
試験のフェーズ: 第III相
治験責任医師: 伊東大介
予定試験期間: 2019年5月~2020年5月

参照

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